【コンフォートゾーンと個人・企業の成長】メンタルヘルス研修(須賀川市)の内容と感想
個人や企業が成長するには、従業員が「コンフォートゾーン」を抜け出していく必要があります。
本記事では、コンフォートゾーンとは何か、そしてコンフォートゾーンを飛び出して新たな成長を遂げるための具体的なノウハウについて解説します。また、同テーマについて私がお話しした企業のメンタルヘルス研修の内容と、受講生の感想についても紹介します。
コンフォートゾーンとは何か

「コンフォートゾーン」とは、自分にとって快適だと感じられる状況、自分が安心できる環境のことです。
企業の従業員にとってのコンフォートゾーンの具体例としては、たとえば以下のようなものがあります。
職場におけるコンフォートゾーンの具体例
長年慣れ親しんだ業務
長年同じ部署で同じ種類の業務(たとえばデータ入力、営業活動、経理業務など)を行なってきており、決まった手順やルールに沿って進めればよいタスクばかりで、新しい手法を試す必要がない。
特定のメンバーとだけの仕事
気心の知れた同僚やチームメンバーとだけ一緒に仕事をし、新しいメンバーや異なる部署との協働は不必要。
いつもの働き方やシフト
毎日同じ時間に出勤・退勤し、突発的な残業や柔軟な働き方を求められず、フレックス制度やリモートワークなど新しい働き方は経験しなくてよい。
スキルや知識を超えない範囲での業務
現在持っているスキルや知識で対応可能なタスクにだけ取り組めばよい。
責任の少ないポジション
チームリーダーやプロジェクトマネージャーなどの責任者ではなく、フォロアーとして指示された仕事をこなしていけばよい立場。
ルーティーン化されたコミュニケーション
同じクライアントと毎回似たような取引を行なうなど、決まった相手と定型的なやり取りを行なうだけで済み、新規顧客との取引や、初対面の人との対話、臨機応変の対応などをしなくてよい。
短期的で単純なタスク
長期的なプロジェクトに参加したり、自主的な判断を必要とする業務を任されたりせず、明確な指示の下で短時間で完了するタスクに取り組めばよい。
特定の道具やツールの使用
慣れ親しんだ道具やデジタルツールを使って業務を行ない、新しい道具やツールの使用を求められない。
職場の特定の場所や環境
出張や営業など普段とは別の場所に赴くことがなく、決まったデスクやオフィスの中だけで一日を終えられる。
成長を求められない環境
今以上のポジションや成績を目指したり、資格を取得したりすることが求められない。
コンフォートゾーンの功罪

コンフォートゾーンに留まり続けることは、従業員がストレスなく働けるという利点があります。
その一方で、現状に満足してしまうことで、本来達できる個人や企業全体の成長や変化を阻害する要因にもなり得ます。
企業としては、従業員のストレスに配慮しつつも、一人ひとりがコンフォートゾーンから少しずつ抜け出し、新しいスキルを学んだり新しい環境に適応できたりするよう、適切なサポートや動機づけを行なうことが重要です。
また従業員個人も、いつもの慣れたやり方やあり方を抜け出して、新しいことに挑戦していく勇気が必要です。
コンフォートゾーンを飛び出すための3ステップ

コンフォートゾーンを飛び出して成長のプロセスに入るために、以下の3つのステップを踏んでいきます。
(1) 現状の把握
自分が安心できる範囲を認識することで、自分のコンフォートゾーンの内容を知ります。詳しくは、後述の「セルフアセスメントワーク」をお読みください。
(2) 小さな挑戦と成功体験
コンフォートゾーンから離れて新しいことに挑戦します。最初はあれもこれもと手を広げずに、ストレスが少なそうな領域を一つ選んで試してみましょう。そして、新しいことに挑戦できたら、別の領域を選んで挑戦します。
(3) コンフォートゾーンの拡大
こうして小さな成功体験を積み重ねながら徐々に自信をつけていくことで、ストレスなく振る舞えるコンフォートゾーンが拡大します。結果としてこれまで以上にさまざまな体験ができたり、新しいスキルを身につけたり、仕事で成果を上げたりできるようになっていきます。
セルフアセスメントワーク

私は、福島県須賀川市を拠点に、郡山市や福島市など福島県内、また山形・栃木・宮城など近隣県の企業・団体・施設様のメンタルヘルス研修で講師を務めています。内容は、研修担当者様との事前打ち合わせによって決定しますが、コンフォートゾーンについてお話しする際には、「セルフアセスメントワーク」と呼ばれるワークショップを行なうことが多いです。
これは、ワークシートを使って、自分の現在のコンフォートゾーンを可視化するというものです。それにより、自分がコンフォートゾーンを突破して成長できそうなポイントが見えてきます。
セルフアセスメントワークシートは、以下のような項目で構成されています。
(1) コンフォートゾーンの把握
自分がどのような環境や行動を「コンフォートゾーン」として認識しているかを明確にするため、たとえば以下のような質問に答えていただきます。
- 「現在、自分が最も安心できる環境や状況は何ですか?」
- 「仕事やプライベートで避けがちな状況はどのようなものですか?」
- 「日常の中で、挑戦することを避けている理由は何ですか?」
(2) ラーニングゾーンの把握
今までよりちょっと背伸びをすれば身につけられるような新しい環境や行動の領域を、「ラーニングゾーン」(またはストレッチゾーン)と呼びます。以下のような質問に答えることで、ラーニングゾーンが見えてきて、新しい行動目標を立てられるようになります。
- 「大きな挑戦だと感じるが、頑張れば達成可能だと思えることは何ですか?」
- 「新しいスキルやプロジェクトに取り組む際、何が障害となっていますか?」
- 「自分が成長を感じた経験は何ですか?」
(3) パニックゾーンの把握
あまりにも大きくコンフォートゾーンを逸脱するような行動をしてしまうと、ストレスが強すぎてパニックになったり、心理的な抵抗が起きたりして動けなくなってしまいます。そのような自分にとってはまだ挑戦が難しい領域のことを「パニックゾーン」と呼びます。
過度な挑戦による逆効果を防ぐために、以下のような質問に答えながら、自分のパニックゾーンを知っておきます。
- 「強い不安やストレスを感じる状況や出来事は何ですか?」
- 「どのような場面で無力感や過剰な緊張を感じますか?」

(4) 行動計画の策定
把握したラーニングゾーンに基づいて、具体的な行動計画を立てます。次のような質問に答えながら計画を立ててみましょう。
- 「コンフォートゾーン以外の行動で、次に挑戦してみたいことは?」
- 「コンフォートゾーン以外の環境に身を置くとしたら、最もストレスなく挑戦できそうなことは何ですか?」
- 「新しい行動に挑戦する場合、サポートしてくれそうな人や、使えそうなリソースは何ですか?」
行動計画は、抽象的な表現ではなくできるだけ具体的な行動の形で表現します。たとえば、
×経理の仕事でスキルアップする
○1年後までに簿記検定1級の資格を取得する
なお、目標には可能な限り数値や期限も設定しておくと、モチベーションがアップします。
(5) 定期的な振り返り
メンタルヘルス研修では実際に行ないませんが、1カ月に1度くらいのペースで、ワークシートを見直します。自分の成長を実感することで、ますます新しい挑戦に拍車がかかるでしょう。また、停滞している行動計画が見つかれば、改めて仕切り直すことができます。
セルフアセスメントワークシートの例

以下は、研修で作成していただいたワークシートの例(概要のみ)です。本人の許可を取って紹介します。
Aさん(20代・営業職)
- コンフォートゾーン:面識のある取引先への新規提案。
- ラーニングゾーン:新規見込み客へのアポイント。
- パニックゾーン:外国語や知らない専門的知識が必要な営業。
- 行動計画:1週間に1回、新規見込み客リストの1社に電話して訪問の約束を取り付け、営業を実施。
Bさん(40代・管理職)
- コンフォートゾーン:部下への一斉指示やメールでの指示。
- ラーニングゾーン:言い訳が多いため苦手意識を持つ部下への1対1の指導。
- パニックゾーン:上司への抗議や否定的な意見具申。
- 行動計画:週1回、苦手意識のある部下に口頭でフィードバックを行なう。
受講者の感想

研修後にいただいた受講者の感想や決意表明をいくつかご紹介します。
Cさん(30代・営業職)
「これまでの成果に甘んじて、新入社員の頃のようなチャレンジングスピリットを失っていた自分に気づかされました。いつも初心を忘れず、新たなことに挑戦し続けていきたいと思います。」
Dさん(50代・管理職)
「特にIT関係はもっぱら人任せでしのいできましたが、自分でもさまざまなツールを操作したり、情報を手に入れたりできるよう勉強します。」
Eさん(20代・事務職)
「ラーニングゾーンとパニックゾーンの違いについて教わったのが心に残りました。新しい挑戦というと足がすくみそうになりますが、ほんのちょっと背伸びするだけでいいと知り、安心しました。まずは新しい資格取得を目指してがんばります。」
まとめ

「コンフォートゾーン」をテーマにしたメンタルヘルス研修は、個人と企業の双方に大きな成長のシャンスになります。私が講師を務める研修では、座学だけでなくワークショップやディスカッションも豊富で、即効性のあるノウハウを楽しく学んでいただけます。
ご興味のあるメンタルヘルス対策担当者様は、以下の公式サイトからぜひお気軽にお問い合わせください。
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