優先順位の付け方【ストレスマネジメント】メンタルヘルス研修の内容と感想
行なわなければならないことが多いと、精神的に圧倒されてしまいがちです。日々の業務に追われて、ストレスが蓄積していると感じておられる方も多いのではないでしょうか。
継続してストレスがかかり続けると、心身の健康を損ねてしまいます。それは従業員個人の問題だけではなく、企業にとっても大きな損失です。企業側の責任として業務量を調整すると共に、従業員もタスクの優先順位を付け、限られた時間とエネルギーを有効に利用するスキルが求められます。
この記事では、優先順位の付け方を具体的に解説するとともに、私が実施したメンタルヘルス研修に参加なさった方の声を紹介します。
目次
メンタルヘルスにおける「優先順位付け」の重要性
ストレスの大きな要因の一つに、やるべきことが山積し、それに圧倒されてしまう状況があります。適切に優先順位を付けることで、業務効率を上げるだけでなく、心理的な余裕を取り戻すことが可能です。
たとえば、次のような方法があります。
「緊急度」と「重要度」のマトリクス
タスクを「緊急度の強弱」と「重要度の強弱」で4つに分類します。それを使ってスケジュールを組み、優先度の高いものから取り組みます。詳しくは後述します。
デジタルツールの活用
タスク管理用のアプリを活用します。タスクを視覚的に管理することでストレスを軽減します。デジタルツールを使ったタスク管理は、個人だけでなくチーム全体で導入することにより、パフォーマンス向上にもつながります。
「緊急度」と「重要度」のマトリクス
「緊急度」と「重要度」のマトリクスは、タスクの優先順位付けや時間管理において非常に有効なフレームワークです。
これは「アイゼンハワー・マトリクス」とも呼ばれ、第34代アメリカ大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが提唱した考え方に基づいています。タスクを「緊急性」と「重要性」の2軸で分類し、4つのグループに分けることで、何に優先して取り組むべきかを明確にするというものです。
4つのグループ
A. 緊急で重要
直ちに対応が必要なタスク。放置すると大きな損失を生むため、最優先で取り組みます。
たとえば、納期直前のプロジェクト、急を要するクライアント対応、突発的に発生した問題への対応など。
B. 重要だが緊急でない
放置するといずれ大きな損失を生みますが、タイムリミットまでまだ余裕があるタスクです。
たとえば、納期に余裕のあるプロジェクト、スキルアップのための研修、健康増進プログラムなど。
C. 緊急だが重要でない
締め切りが迫っていますが、自分が取り組む必要のないタスクです。
たとえば、他部署からの急な依頼、即時対応を求められた雑務、不必要な会議、参加する意味のない研修など。
D. 緊急でも重要でもない
生産性にまったく寄与しない活動。
たとえば、業務上不必要なネットサーフィン、長すぎるタバコ休憩や雑談など。なお、適度な休息は心身の健康に不可欠のためB項目(重要だが緊急でない)にあたります
どの項目を優先するか
まず、重要ではないタスク(CやD)は切り捨てます。そして、緊急に対応しなければならず、しかも重要なAの項目を最優先にしなければなりません。
ただし、一日の業務がA項目ばかりで占められてしまうと、過大なストレスがかかってしまうことになります。
そこで、スケジュールをBのタスク(重要だが緊急ではない)で埋めるようにしましょう。そのためには、行き当たりばったりにタスクをこなすのではなく、中長期計画を立てる必要があります。
空き時間を設けよう
また、スケジュールの中に「何にでも使える空き時間」を設けるようにしましょう。
A項目は突然やってきますが、空き時間を設けていればその対応に用いることができます。また、緊急事態が何も起こらなければ、スキルアップのための勉強や他の人のヘルプなどに使うことができます。
研修参加者の感想
研修後、参加者から寄せられた声をご紹介します。
- 自分のスケジュールがA項目ばかりになっていたために、ストレスが溜まっていたのだということに気づかされました。B項目でスケジュールを埋めること、そして自由時間を設定しておくことの大切さを学び、目から鱗でした。
- 自分は頼まれるとノーが言えないタイプのため、C項目が多かったことに気づきました。これからは「断る勇気」「他の人に任せる勇気」を持ちたいと思います。
- タスクの分類をしてみると、自分がいかに重要でないことに時間を使っていたか痛感させられました。さっそく時間の使い方を見直します。
メンタルヘルス研修の導入効果
企業が従業員のメンタルヘルスに配慮することは、もはや選択肢ではなく必要事項です。以下は、メンタルヘルス研修を導入することで得られる主な効果です。
休職者や離職者の減少
メンタルヘルス研修では、従業員がストレスを適切に認識し、対処する方法を学びます。これにより、従業員が自分のメンタルヘルス状態を早期に把握し、深刻化する前にケアできるようになります。
また、職場の雰囲気が良くなって心理的安全性が増し、従業員の満足度が増大します。その結果、ストレスによって休職したり退職したりする従業員が減少します。
生産性の向上
メンタルヘルス対策を学んで実践する従業員は、集中力や創造力が高まります。また、管理職が研修を受けることで健全なリーダーシップを身につけることができます。
その結果、企業全体の業務の質や効率が上がります。
企業イメージの向上
メンタルヘルス対策を積極的に実施している企業は、求職者や顧客、取引先から「従業員を大切にする会社」として評価されます。結果的に、採用や取引において優位性を持つことができます。
まとめ
優先順位を適切に付けることは、ストレスマネジメントの基本とも言える重要なスキルです。メンタルヘルス研修を通じて、従業員がこのスキルを習得することで、職場全体の生産性や幸福度が向上します。
私は、福島県須賀川市を拠点に、郡山市や福島市など福島県内、また栃木・山形・宮城など近隣県の企業・団体・施設でメンタルヘルス研修の講師を務めていますが、ストレスマネジメントの研修ではよく優先順位の付け方に関する講義や演習を行なっています。
ご興味のあるメンタルヘルス対策担当者様は、以下の公式サイトからお気軽にご連絡ください。
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