睡眠の質を向上する方法【ストレスマネジメント】メンタルヘルス研修の内容と感想
睡眠は、私たちの心と体の健康を保つのに重要な要素です。そして、睡眠時間だけでなく、睡眠の質も問われます。
この記事では、睡眠の質を高めるための具体的な方法について解説します。また、私は、福島県須賀川市を拠点に、福島県内や近隣県の企業・団体・施設様でメンタルヘルス研修の講師を務めています。ストレスマネジメントに関する社員研修に参観なさった方たちの感想も紹介します。
ぜひこの記事を参考に、心地よい眠りと心身の健康を手に入れてください。
目次
体内時計と安眠の関係
(1) 体内時計とメラトニン
人間には体内時計の機能が備わっています。この機能に関わっているのが、脳の松果体から放出される「メラトニン」というホルモンです。メラトニンは、睡眠と覚醒のリズムを調整するはたらきがあります。
メラトニンの分泌リズムが崩れてしまうと、夜になかなか寝付けなかったり、眠りが浅くて疲れが取れなかったり、すっきりと起きられなかったりします。
(2) 体内時計のリセットと安定化
1日は24時間ですが、体内時計の1周期は25時間だと言われています。ですから、毎日リセットしないとどんどん睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまいます。
以下、体内時計をリセットするための方法、そして安眠のために役立つ具体的な工夫を紹介します。
睡眠の質を向上させる方法
(1) 睡眠環境を整える
光の調整
睡眠と覚醒のリズムを調整するメラトニンは、昼間の明るい環境だと少ししか分泌されず、夜暗くなるとたくさん放出される性質があります。それにより、夜に穏やかな眠りがもたらされるのです。
ところが、就寝前にスマホやパソコンの画面から出るブルーライトを浴びてしまうと、メラトニンの分泌が阻害され、なかなか寝付けなかったり、眠りが浅くて疲れが取れなかったりします。ですから、就寝の1〜2時間前には、スマホやパソコンを使用しないよう心がけましょう。
また、室内の照明の色は暖色系を選ぶと、リラックス効果が高まり穏やかな眠りをもたらしてくれます。明るさを調整できる照明器具を使っているなら、寝る1~2時間前は少し暗めに設定すると良いでしょう。
音の調整
静かな環境で眠るのが理想的ですが、難しい場合は、以下のような方法を試してみましょう。
- 耳栓を使用する。ノイズキャンセリング機能が付いているものなど、さまざまな種類がありますので、自分に合ったものを見つけましょう。
- スマホなどで、ホワイトノイズや自然音(雨音や波音)を流しながら寝る。
- 窓に厚手のカーテンをつけたり、音がする壁際に家具を置いたりする。
- 二重窓にする。
室温や湿度の調整
寝室の適切な温度は20℃前後で、湿度は40〜60%が目安です。エアコンや加湿器を利用して調整しましょう。
(2) 生活リズムを整える
就寝時間・起床時間を変えない
就寝や起床のリズムを一定にすることにより、体内時計を安定させることができます。休みの日に「寝だめ」をするのは、睡眠の質という面では実は逆効果です。
朝日を浴びる
起床後すぐに太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされます。そして、夜になると自然と眠くなります。曇りや雨の日で太陽が出ていない日でも、朝はすぐにカーテンを開けて外の光を室内に取り込みましょう。
適度な運動
日中にウォーキングやヨガなど軽い運動をしたり、入浴後にストレッチをしておくと、適度な疲れによって睡眠の質が向上します。ただし、就寝直前に激しい運動をすると、交感神経が興奮してなかなか寝付けなくなってしまいますから注意してください。
カフェインの摂り方を考える
コーヒーやお茶などに含まれるカフェインに、覚醒効果があることはよく知られています。カフェインを摂取してから覚醒効果が治まるのに3~5時間かかりますから、就寝4時間前以降はカフェイン飲料を飲まないようにしましょう。
お酒の飲み方を考える
アルコールには鎮静作用がありますから、お酒を飲むと眠くなります。そのため、寝付きを良くしようと寝る直前にお酒を飲む方がいらっしゃいます。しかし、睡眠の質の観点からは逆効果です。その理由は、
- 夜中に鎮静作用が切れてしまい、反動で眠りが浅くなったり中途覚醒してしまったりします。
- 利尿作用によってトイレに行きたくなり、夜中に目が覚めてしまうこともあります。
- アルコールを飲んで寝るといびきが増えます。これは気道の筋肉が弛緩するためです。つまり十分酸素を取り込めない状況であり、これが中途覚醒を生んだり疲労回復を阻害したりする要因となります。
- アルコールは、心身をリラックスさせる副交感神経の働きを邪魔します。そのため、眠っても十分な疲労回復効果を得られません。
1単位のアルコール(5%のビールなら500ml)を飲んだ場合、体内のアルコールは約3時間で分解されて、上記のような悪影響を及ぼさなくなります。ですから、お酒は寝る3時間前までに飲み終えるようにしましょう。もちろん、飲み過ぎるとなかなか代謝されずに悪影響が残り続けますから、適度な飲酒量を心がけてください。
(3) 就寝前のルーティンを確立する
リラックスする時間を作る
就寝前の1時間はリラックスした状態になることを心がけます。たとえば本を読んだり、落ち着いた音楽を聴いたり、深呼吸や瞑想を行なったりするとよいでしょう。上述の通り、スマホやパソコンは避けてください。
入浴する
寝る前に入浴すると、いったん体温が上昇し、その後深部体温(体の中心部や内臓の温度)が徐々に低下します。また、ゆったりと入浴することで、ストレスホルモンであるコルチゾールが低下します。これらにより心身をリラックス状態にさせる副交感神経が活性化され、眠気が誘発されるのです。
- 就寝の1~2時間前に入浴するのがおすすめです。入浴後、体温が下がる間に眠りにつくことで、スムーズな入眠が期待できます。寝る直前の入浴は、まだ体温が高い状態のため寝付きが悪くなる可能性があります。
- お湯の温度は38~40℃のぬるめが最適です。熱すぎると、交感神経を刺激してしまって、興奮して眠れなくなってしまう恐れがあります。
- 湯船に浸かっている時間は10~15分程度が目安です。長湯は体に負担がかかって、かえって疲れが増幅しますから注意しましょう。
- 入浴後は、部屋の温度を少し涼しめにし、ゆったりと過ごしましょう。
4-7-8呼吸法を行なう
息を4秒吸い、7秒間止め、8秒かけて呼吸を出すのを数回繰り返します。この呼吸法は、リラックス効果が高く、睡眠時に行なうと眠りに入りやすくなります。
スリー・グッド・シングスを書く
お気に入りのノートに、その日に起こったうれしいことや良かったことを3つ書き出します。それを読み直すことで、就寝を邪魔する不安感が軽くなり、安心と明日への期待感を持って眠れるようになります。
(4) 食生活を見直す
夕食の時間
寝る3時間前までに夕食を済ませてしまいましょう。食事と睡眠の間隔が短いと、消化器官が活発に動くため安眠の妨げになります。
おなかがすいて眠れそうにない場合には、消化が良い軽食を摂ります。バナナやホットミルクなら、安眠に効果があるトリプトファンも豊富に含まれるためオススメです。ただし、就寝1時間前までに食べ終わるのが望ましいです。
安眠に有効な食品
睡眠の質を高めることが特に期待される栄養素は、トリプトファンです。
トリプトファンは、セロトニンという神経伝達物質の原料になるアミノ酸です。セロトニンは、リラックス効果をもたらすとともに、睡眠を促すメラトニンの生成を助けます。乳製品、大豆製品、ナッツ、バナナ、鶏肉などに多く含まれます。
他に、以下のような栄養素が安眠に有効だと考えられます。
- ビタミンB6:上記のトリプトファンからセロトニンへの変換を助けるビタミンです。マグロ、カツオ、バナナ、レバーなどに多く含まれます。
- GABA:脳の興奮を鎮めて心身をリラックスさせてくれます。発芽玄米、納豆、キムチ、トマトなどに多く含まれます。
- マグネシウム:筋肉の緊張を解いてリラックスさせる効果があります。海藻類、ナッツ、豆類、全粒粉などに多く含まれます。
受講者の感想と研修の効果
私が各地の企業・団体・施設様で講師を務めたメンタルヘルス研修参加者からいただいた、「睡眠の質向上」の講義や演習についての声をご紹介します。
Aさん(20代・営業職)
「研修を受けてから、寝る前にネットやゲームをする時間を減らしました。それにより、朝の目覚めが驚くほど良くなりました。そして、日中の眠気も無くなりました。これほど寝る前の行動が影響していたとは!と驚きです。」
Bさん(40代・工場勤務)
「教えていただいた呼吸法を、寝る前や昼休みが終わる前に試してみました。集中力が上がって、作業がスムーズに進むようになった気がします。慢性的に感じていただるさも解消されました。ありがとうございます。」
Cさん(50代・管理職)
「早く寝ようとして寝る前に酒を飲んでいましたが、それはかえって逆効果だと知りました。オススメの通り、できるだけ就寝3時間前までに飲み終わるようにしたところ、朝パッと目覚められるようになりました。」
Dさん(30代・介護職)
「参加するだけでストレスが軽くなったような不思議な研修でした。講義も面白かったですが、ディスカッションやワークの時間が特に楽しかったです。睡眠に良くない生活習慣についてのグループディスカッションでは、これも当てはまる、これも当てはまると、みんなでワイワイ言って盛り上がりました。」
まとめ
睡眠の質を改善することは、従業員の心や体健康を守るだけでなく、企業全体のパフォーマンスやイメージの向上にもつながります。
御社の従業員の皆さんが楽しく生き生きと働き続けるために、ぜひメンタルヘルス研修をご検討ください。須賀川市・郡山市・会津若松市・いわき市など福島県内だけでなく、山形・宮城・栃木など近隣県での研修にも伺います。また、リモート開催にも対応しています。
まずはお問い合わせを。お気軽に以下の公式サイトからご連絡ください。
→ オアシス・カウンセリング・サービス公式サイト