過重労働を回避【SMARTな目標設定法】メンタルヘルス研修の内容と感想
過重労働は従業員に負担をかけ、身体的、あるいは精神的な健康を損ねる危険をはらんでいます。長時間にわたる労働をさせないための配慮は、企業側の責任として行なわなければなりません。しかし、従業員も目標設定法を見直すことによって、より作業効率を高め、労働時間を短縮できるようになります。
この記事では、私が企業・団体・施設のメンタルヘルス研修で教えている効果的な目標達成法、特に「SMARTの法則」の内容、また受講なさった方々からの感想を紹介します。
目次
過重労働が企業にもたらす影響
過重労働とは
過重労働とは、労働者の心身に大きな負担がかかるような働き方のことです。負担の原因はさまざまですが、特に長時間労働の側面が注目されることが多いです。
法律では労働時間の上限に関する規制が設けられています。
- 労働基準法で、労働者に対して原則「1日8時間、1週間40時間」を超えて働かせてはならないとされています(法定労働時間)。
- ただし、労使間でいわゆる36協定を結べば、法定労働時間を超えて働いてもらうことが可能です。その場合でも、時間外労働は「1か月あたり45時間、1年あたり360時間以内」に押さえなければなりません。
これらの範囲内であっても、従業員が継続して重い負担感を味わっているなら、その働き方は過重労働と言っても過言ではありません。
企業への悪影響
過重労働は、従業員に慢性的な疲労や集中力欠如による事故や生産性の低下、胃炎、高血圧、心臓病、脳血管障害、うつ病や適応障害などを引き起こし、最悪の場合病死や自殺を招きます。いわゆる過労死です。
その悪影響は従業員本人に留まりません。企業が過重労働の状態を放置していると、次のようなリスクが生じます。
- 生産性の低下
- 休職・退職による人手不足や採用・育成コストの増加
- 損害賠償訴訟
- 企業イメージの低下による採用や契約へのダメージ
メンタルヘルス研修への期待
こうした問題を未然に防ぐため、企業側は従業員に与える業務を減らすなど、労働環境を整えなければなりません。それと共に、メンタルヘルス研修を行なうことによって、従業員にストレスマネジメントを身につけてもらう必要もあります。
ストレスマネジメント研修で取り上げる内容の一つが、目標設定法です。目標設定法は、従業員が自分に与えられている業務を効率的に進めながら、無理のない働き方を実現するための重要なスキルとして注目されています。
私は、福島県須賀川市を拠点に、郡山市や福島市など福島県内、また山形・宮城・栃木など近隣県の企業・団体・施設様でメンタルヘルス研修をおこなっています。次の項目で、研修で紹介している目標設定法のひとつ、「SMARTの法則」について解説します。
スマート(SMART)な目標
「SMARTの法則」は、効率的で実現可能な目標設定法として最近注目されています。以下の5つの原則に則った目標を立てます。
Specific:具体的である
目標は、達成できたかできていないか、誰がどんな気分で評価しても同じ判定になる必要があります。そうでないと、本人は「達成できた」と思って報告したのに、上司に「達成できていない」と差し戻されてやり直すという無駄な時間や労力が生じてしまいます。そんなことが繰り返されれば、仕事に対するモチベーションも下がってしまうでしょう。
そこで必要なのが「目標は具体的であること」という原則です。すなわち、抽象的で曖昧な表現、人によってさまざまな解釈が可能な表現ではなく、解釈が一つしかないような明確な表現を使います。
たとえば、「新入社員を、一人前の営業マンに育てる」は具体性に欠ける目標です。達成できたかどうかの基準が曖昧だからです。一方、「新入社員に一人で商品AからCの営業に行かせ、定期購入を1件契約できるようにする」という表現なら、達成できたかどうか一目瞭然です。
Measurable:計測可能である
目標とする結果を数字で表す、すなわち時間や距離や数量などを使って表現するということです。そうすることで、目標が達成できたかできなかったかが、誰の目にも明らかになります。
たとえば「減量する」ではなく「4キロ減量する」、「できるだけたくさん買ってもらう」ではなく「15個買ってもらう」というふうに。
Achievable:現実的である
「最終目標」としては、どんなに達成困難で高い目標を立ててもかまいません。しかし、「当面取り組むべき目標」は現実的でなければなりません。すなわち、ちょっと努力すれば実現可能な目標を立てるということです。当面取り組むべき目標が困難すぎると、なかなか目標が達成されないためやる気を失ってしまいがちです。
最終目標が高すぎる場合には、その目標に至るまでのルートをイメージし、階段状に下位目標を構成していきます。そして、まずちょっとがんばれば達成できそうな目標1に挑戦し、達成したら目標2に挑戦。それを達成したら目標3、というふうに順にチャレンジしながら最終目標を目指すのです。
「たとえば、社内プレゼンに合格して企画を承認してもらう」を最終目標として、まず「商品のベネフィットを30個書き出す」から始めるなど。
Relevant:関連性がある
関連性があるとは、ここでは「目標達成によって得られる成果が、本人にとって本当に意味のあるものだ」という意味です。
別の言い方をすると、以下のような目標です。
・他人から押しつけられた目標ではなく、自分で「こんな自分になりたい」「この成果を手に入れたい」「これを達成したい」と自分で願って立てた目標
・その目標を達成することで、チームや会社の役に立てたと感じられるような目標
・やり甲斐を感じられるような目標
・よりやり甲斐のある次の目標につながるような目標
Time-bound:期限が決められている
いつまでにその目標を達成するかを明確に示すということです。期限を設定していないと、どんどん後回しになってしまうかも知れません。
SMARTの法則以外の研修内容
私が講師を務めるメンタルヘルス研修では、SMARTの法則以外にもストレスマネジメントに関する内容を取り上げます。よく取り上げるのは次のような内容です。
- 優先順位の設定
- マインドフルネス瞑想
- 呼吸法
- 認知行動療法の応用(感情のコントロール)
- アンガーマネジメント(怒りのコントロール)
- アファメーション(前向きな自己宣言)
なお、個々の研修の内容は、主催者である企業・団体・施設のメンタルヘルス担当者様と事前に打ち合わせしながら決定します。
メンタルヘルス研修参加者の感想
以下は、実際に研修に参加した方々の声です。
- 「これまで数値化や期限設定ができていなかったと反省しました。今後はSMARTの法則を意識して目標を立てたいと思います。」
- 「いつも時間に追われる感覚でしたが、これからは精神的に余裕を持って仕事に取り組める気がします。」
- 「個人だけでなく、チーム全体の目標設定にも活用できると感じました。」
また主催者である企業・団体・施設の担当者からも、「休職者が減りました」「残業代が減っただけでなく、利益も上がりました」といったうれしい報告をいただいています。
まとめ
従業員のメンタルヘルスを守り、過重労働のリスクを避けるためには、スマートな目標設定法を取り入れることが欠かせません。従業員の健康を守り、生産性を向上させたいとお考えのメンタルヘルス担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。ご連絡は、以下の公式サイトまでお願いします。
→ オアシス・カウンセリング・サービス公式サイト